転  校  生 \





それから病院に戻った啓介は、兄の涼介や婦長に抜け出した事をこっぴどく怒られ、また一緒に来た拓海も怪我をしていたので治療を受けさせられた。


治療を終えた拓海が啓介の病室に向かい、ノックして中に入ると啓介はベッドを少し起こさせ、すっかり暗くなった窓の外をぼんやりと見つめていた。拓海も無言のまま近寄ると、近くにあった丸椅子に腰かけて啓介の横顔を見つめる。

しばらくお互い何も言葉を発せずに、部屋に沈黙が漂っていた。

「………なぁ……」

ようやく啓介が口を開き、拓海は「何すか……」と掠れた声で尋ねる。

「お前………このままガマンできる?」
「…………」

傍から聞けば意味のわからない質問だが、拓海は密かに眉を寄せ、手元に視線を下ろした。

「………アンタ、何言ってんすか……こんな所で…」
「どうせ、帰ったら一人でヌくんだろ?」
「そんな事、アンタに訊かれる筋合いはない」
「だったら――――俺がキモチ良くしてやるぜ?」

拓海の言葉を無視してそう言うと、啓介は拓海へと視線を向ける。
再び顔をあげ見つめたその表情に、拓海は再び体の奥底が疼きだすのをはっきり感じた。

何かに飢えた、ギラついた瞳が拓海の視線を絡め取る。

気がつけば拓海は立ち上がり、ギシっと片方の膝をベッドの上に乗せて啓介の顔を覗き込んでいた。 そんな拓海の表情に啓介は口端をくいっと上げ、拓海の腕を掴んで自分の上に乗り上がらせる。
そのせいでさらに間近になった拓海の唇を舌を差し出してペロッと舐めると、拓海の瞳の奥に欲の混じった色がじわり、と浮かび上がった。啓介はそれを確認して、拓海の耳元で囁いた。



―――――俺が、お前の熱を静めてやる。





「っ……ぁ、ふ………」

いくら個室とは言え、漏れる声が廊下に聞こえるかもしれない。
そうぼんやり思いながらも拓海は溢れ出る喘ぎをこらえる事が出来ないでいた。

下半身を晒し、上はワイシャツ一枚のみというあられもない格好で拓海は啓介に跨っている。拓海の下にいる啓介も、Tシャツ一枚だけになって自由に動く左手で拓海の胸の突起をいじりまわしていた。

「ケンカの後ってさ………すっげぇコーフンすんだよな……」
「ん、ぅ………」
「だからめちゃめちゃセックスしたくなるだろ……?」
「ぁ……ゃ………っ―――

そう呟きながらも啓介の手が拓海の雄へと触れ、拓海は小さく声を上げた。
そのまま啓介は自分の固く熱を持った雄と一緒に握り込み、拓海のコリっと固くなった突起を舌で嬲りだす。啓介の手が握り込んだ雄の部分からぐちゅぐちゅと濡れた音が部屋に響き渡り、拓海は耳に届くその音にすら感じて、顔を仰け反らせて無意識に腰が動く。
その拓海の様子に啓介はさらに熱を帯びて自分も腰を揺すりだした。

明かりが全て消え、窓からの月の光のみの中で快楽に揺らめく拓海の姿は、普段の冷めた雰囲気からは想像できないほど艶めいていた。


こんな藤原を見るのは俺だけだ。


そんな独占欲が心の中に膨らんでくる。


手に入らなさそうだからこそ、もっと啼かせて快感に悶えさせたい。
そして自分をその体に刻みつけたい。



「ンぁっ……だ……け、ぃす………さ…っ―――
「す、げえ……拓海の………んなに、感じてる……?」

はぁ、と熱い吐息を漏らしながらも啓介が握り込んだ拓海の雄の先端を指でいじると、拓海は体を戦慄かせながら頭を激しく横に振った。拓海の力ない抗議など無視して、啓介はさらに白い先走りが溢れ出るその部分に軽く爪を立てた。

「……ひぁ――――――ッ!!!」

与えられた目も眩むほどの刺激に、拓海は息を思いきり吸い込み背中を仰け反らせた。その瞬間、拓海の雄から勢い良く白濁が飛び散り啓介の腹を汚す。

「…………っ……くみ……っ―――

その、自分の腹に飛び散った感触と手の中のヒクつく拓海の雄に煽られて、啓介も拓海の名前を呼びながら熱を吐き出した。

くたりと前に倒れてきた拓海に啓介が荒い息混じりに何かを囁き、拓海がぼんやりと顔をあげる。
その、薄く開いた唇を捉え、啓介は夢中でそれを貪った。




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