Never Forget Me





2.コワレタオモイ 第8話(Side T)





俺は身の危険を感じ仰向けに寝転がったままズリズリと逃げようとしたけど、手が自由に動かせないからどうしてもうまく体を起こせない。ケイスケさんはそんな俺をたやすく捕まえると、あっと言う間に俺をうつ伏せにしてしまった。俺は尚もそこから逃げ出そうとしたが腰を掴まれ引き戻されてしまう。

「離せっ、ざけんなよ………っ……」
「………グダグダうるせぇんだよ」

俺の尻の所でケイスケさんの声が聞こえたかと思った瞬間、双丘を左右に開かれ俺は「ヒッ………」と声をあげてしまった。


ケイスケさんの目の前に誰にも見せたことのない、自分の汚い部分が晒されているのかと思うと悔し涙が出そうになる。このまま舌を噛んで死んでしまおうかと思い、俺はギリっ……と舌に歯を立てた。が、ふいに思いも寄らない場所に思いも寄らない感触を感じて、ぎょっとして振り返った。



そこには、俺の尻に顔を埋めているケイスケさんの姿があった。



それを認識した瞬間、ゾワリと何かが尻を這う感触がした。いや、それは尻と言うより―――



「っ、ゃ、アアァ―――っ!!!」

本来、何かを受け入れる場所ではない秘孔をケイスケさんの舌がぬるり、と舐めていたのだ。ヌチャヌチャと聞きたくもない音が耳に届いて俺は無我夢中で頭を振った。しかしケイスケさんはどんどん舌でいじりさらに指でグイっとそこを広げてしまう。そしてまた舌を這わせてはつついたりしている。

「す、げ―――藤原のココ、ヒクヒクしてんぞ………?」

そう呟いたかと思うと、今度は細くて固い物が中に挿ってきた。それは少しずつ奥へと進んでいくにつれてクニクニと内部で動き出し、やがて指だとわかった俺は吐き気を堪えるのが精一杯だった。

「ぅ……ぐ、ぅ………っ……」
「確か……この辺………」

ケイスケさんがブツブツ言いながら何かを探るようにさらに指を動かすと、ある一点で俺の体が勝手に跳ねた。

「―――んぁっ!!」
「ココ、か………」
「な、………ァ、んんっ………っ……」
「ココ?前立腺………いじられると感じちゃうらしいぜ?」

ケイスケさんがくすっと笑いながらそこを集中して攻め始めた。その部分だけが敏感になったように、俺の意思とは裏腹に腰がビクビクと揺れ動いてしまう。俺はだんだんと意識が朦朧とし始めて、もう押さえる事も出来ずにただ喘ぎ声と涎を垂れ流しし続けていた。

「すげぇヤラシイ………そんなにキモチいいんだ」

ケイスケさんの低い、色気の混じった声が耳元で聞こえて俺の体がビクンと動く。今はもう体中が性感帯になってしまったかのように、何をされても何を言われても感じてしまってた。
やがて内部を掻き回していた指が抜け、息をつく間もなく今度は今まで以上に熱く太いモノがあてがわれ一気に俺を貫いてきた。その、今までの比でない重量感に俺は思わず息を止めてしまう。

「―――ッ!!!」
「ふ、じわ………ら、息、しろ…………っ―――」

苦しそうなケイスケさんの声が聞こえ、再び張りつめている俺のペニスにそっと愛撫を施す。その感覚に思わず「あぁっ」と声をあげ、一瞬締めつけを緩めるとケイスケさんのペニスがまたぐぐぐっと進入してくる。それを繰り返してやがて全部収めたケイスケさんが息を吐き、俺の汗だくになった背中にキスを落として耳元に唇を寄せた。





「………アニキだと思ってろよ―――」





(涼介さんがこんなコトするはずねぇだろっ!)



その言葉を聞いた瞬間、俺は我に返って後ろを向きそう怒鳴ってやろうとしたが、いきなり内部に収まっていたペニスが動き出して、怒鳴り声の変わりにみっともない喘ぎ声が漏れてしまった。

「アッ………ぐ、ぅう………っ………」





大体、こんなコトされたいなんて思った事もないんだ。





ただ……遠くから見てるだけで良かったのに。





肉がぶつかる音と荒々しい呼吸が部屋に響き渡る。グチュグチュと濡れた、卑猥な音が俺の鼓膜を刺激する。最初はきつかった内部がケイスケさんのペニスから出る先走りで滑りが良くなったのかスムーズに咥え込む。
ケイスケさんはさっきの言葉を最後にあとはひたすら獣のように俺を突き上げ、腰をグラインドさせていた。その度に俺の体は意思と反して快楽にうち震える。
そんな俺の背中の、肩甲骨らしき部分にやたらとキスをしながらもケイスケさんは腰を打ちつけていく。
さっき指で散々いじられた所をグリグリとペニスで擦られると、イヤでも声が漏れてしまう。



初めて男を受け入れたはずなのに、辛かったのは最初のうちだけだった。



短い時間で、俺の体に快感を覚え込ませたケイスケさんが上手いのか―――
縛られていた手首はいつの間にか解かれていたが、俺はもう抵抗すら出来ずただただ床を爪で引っ掻くだけだった。




ケイスケさんに後ろから貫かれ朦朧としながら何故かケイスケさんが最後に告げた言葉を思い出してた。





『アニキだと、思ってろよ』





「ヒッ………ぁ、ゃだ………っ、も―――っ!!」
「くっ、は―――っ………」

俺はもう限界を迎えようとしていた。早くイキたくてイキたくてたまらないのに、俺の張りつめたペニスはケイスケさんの手がぎゅっと握りしめてて開放出来ないでいる。ゴリゴリと床に膝の骨が擦りつけられて痛いはずだけど、そんな事を思う余裕すらなくなってしまっていた。

「………っ、くっそ………やべ―――っ…」

そのうちケイスケさんが低く唸り手が俺のペニスから手が離れるのと、ケイスケさんの猛々しいペニスが俺の内部をグリっと擦りあげるのが一緒になった途端に俺は頭の中が白く弾け、白濁を床に吐き出してしまった。




『………くみ………す、き……………』




意識が遠のく直前、俺は誰かの声がそう囁くのをぼんやりと聞いていた。







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