DUSK
「……っ……、ァ…」
堪えきれない喘ぎが藤原の唇から零れ落ちる。濡れた瞳が俺を見下ろすと、さらに快感を追うようにまた体を揺らしだした。
「藤、原………」
俺はなすがまま、下から藤原の淫らな姿を見上げている。
こんな藤原は珍しい。
いつもなら、バトルの後の熱を持て余して藤原を押し倒すのは俺の方だ。
どちらからともなく始めたこの行為。
ホテルの部屋に入るなり、俺達は言葉も交わさず互いのキスを欲しがる。
最初はバードキス。
次はディープキス。
そしてキスしながら次第にお互いの体をまさぐり合い、肌を隔てる邪魔な服をはぎ取っていく。
その頃には藤原の息は荒くなりだして、煽られるように俺の愛撫も激しくなっていく。
そのまま俺達は互いを求め合い、二人で快楽の底へと堕ちていくのだ。
汗が伝う藤原の胸へと手を這わせれば、ヒクンっと体が跳ねた。
そのまま固く主張したままの小さな果実を指に挟めば、
「ンっ、ゃ…だ………」
と甘い声音で藤原が喘ぐ。
その声が聞きたくてさらに突起をこねくりまわすと、藤原は頭を振り乱して反応する。
「けぇ……、す…け……さっ―――」
「何だよ………そんな顔して…名前呼ぶなよ――――」
すげぇ、腰にキちまうじゃねぇか。
そう言って俺は突起を摘んだまま腰を揺らしだした。突然動きだした俺についていけず、藤原は背中を反らしてそのまま揺さぶられ続ける。
「……っァ、あぁ――――っ!!」
ひゅ、と息を吸う音が聞こえ、藤原は俺の動きに合わせるように自分も再び腰を揺らす。
尚も突起から指を離さない俺に我慢できなくなったのか、
藤原は強引に俺の手を払い、両の手首を握りしめてベッドに縫いつけた。
「ぁ、おいっ………藤原――――っ、」
「…………啓介さんが…悪いんですよ……?俺にばかり、するから……」
くすっ、と欲情した笑みを浮かべ、藤原はそのまま俺の顎へと唇を押し当てる。
と、思ううちに何かがぬるりと顎の下を這っていく。
その場所に甘く歯をたてる藤原を、俺はぼんやりと見下ろした。
「ん、ぅ………」
手首をベッドに押しつけ、俺の顎に舌を這わせて淫らに腰を揺らす藤原の、
固く熱を持った自身が俺の腹に擦りつけられる。
クチュクチュと濡れた音をたて、藤原はその行為に没頭しながら喘ぎ声を漏らした。
しっとりと湿る藤原の肌が擦れるたびにますます俺の体が熱くなっていく。
男同士でこんな行為をとか、そんな事どうだっていい。
俺達の中のこの熱は、俺達でしか収めることができない。
同じ暗闇を駆け抜ける俺達だけがお互いを解き放てるのだから。
いつもと違うその快楽に、俺は眩暈を覚えてさらに激しく腰を突き上げていった。
夜が朝の彼方へと去っていくその瞬間まで。
そして朝日が俺達を別つ時がくれば何事もなかったかのような顔をしてこの部屋を出て行く。
だけど。
バトルで燻ってしまった熱をおさめる術はもうこれしかないかのように、
闇に紛れて俺達はまた今宵も互いを求める。
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